ザカートと利益

ザカートは要するに富者が手にする財にかける税のシステムを言う。政府の要求に応える上での税金というのとは別に、これは貧者の必要をまかなうためを考えた喜捨のことである。言いかえるとこのシステムは単に国家機構の要請に応えるのみならず、社会福祉の必要を満たすことを保証するものである。要は本質的なものに金をかけることがすべてであり、ある時点で特殊な環境のもとに及んでいる様々な条件に従って細々したことを解決するのは、眼識と理解の深い人々に委ねられる。聖クルアーンは生きることの基本的必要を超えて所有している金持ちの富は、逆に基本的必要さえ満たせず、むしろ奪われる環境の中にいる人々に分ち与えるべきものだと言っている。このことはザカートによって明快に制度化されている。つまり、どんな土地や社会に住む人にも生きることの或る基本的な必要物を所有することは、わけへだてなく与えられた権利であるということ、また、この権利を得るための義務を果さねばならないのは、基本水準を超えて所有する人々であること、そして余剰金の運用は国家に委ね、そのシステムは公正で平等であり根本的な目的にかなうものでなくてはならない。