パリ、フランス;2019年10月8日(火曜日):国連教育科学文化機関(ユネスコ)
現地時間の午後6時15分頃、ユネスコによる特別セッションが、第五代目カリフの到着と共にパリのミオリスで始まりました。
193の加盟国を持つユネスコは、「教育、科学、文化の国際協力を通じて平和を構築することを目指している」国連機関です。1945年11月16日に署名されたユネスコの憲法は、「対話と相互理解」「人類の知的および道徳的連帯について」です。ユネスコは世界的に多数の慈善的、人道的、知的プロジェクトを実施しています。
ミルザ・マスルール・アハマド氏が到着すると、セッションはユネスコの関係者や他の高官からのスピーチから始まり、その後アセィフ・アリフ氏によるアハマディア・ムスリム協会の紹介が行われました。
紹介の後、第五代目カリフは、ゲストに挨拶し、ユネスコのイベントに感謝しました。
また政治家でも、政治指導者でも、科学者でもない宗教団体の最高指導者に耳を傾けてくれたゲストに感謝しました。
カリフは、ユネスコの設立目的は平和、尊敬、人権。教育、表現の自由、貧困の穏和であるということは、賞賛に値すると述べました。これらがイスラーム教の目的でもあると聞いて、ゲストの中には驚く人もいるかもしれません。この奉仕の教えは、聖クルアーンの最初の章に基づいています。この章はアッラー(神)が身分、信条、色に関係なく全人類の主であることをムスリムに思い起こすためにあります。イスラーム教は、「相互尊重と寛容の価値は社会に組み込まれなければならない」と教えると述べました。
彼(神)の存在を否定しても、すべての人の提供者であり、持続者はアッラー(神)です。彼の恵みと哀れみは、彼の存在を悪く思う人にも影響を与えています。
イスラーム教で神によっての罰または制裁の哲学は、来世に向けられています。この世の人生においては、彼は恵みと慈悲を示し続け、人類にもお互いに思いやり、と同情を示すように命じました。
カリフは、他の人々の感情やニーズに対して宗教、文化、民族に関係なく、他人の要件を満たしてあげ、常に親切であることはムスリムの宗教的義務であると述べました。
聖預言者は創造物の中で最高地点にいたにも関わらず、大きな苦難に耐えなければなりませんでした。メディナへの移住の後、聖預言者はリーダーとして選ばれ、国家元首として努めました。彼のリーダーシップの下で作られた憲章は、異なる民族の平和を保障したものと歴史が認めました。
イスラームの預言者は、公平な司法制度を確立し、権力者と弱者、富める者と貧しい者は同じ法律で裁かれることを確実にしました。居住場所の法律に従って、すべての人々は平等に扱われるよう命じました。また彼自身の家族にも同様の法律が適用されるよう明確にしました。
さらに、聖預言者は、社会の知的基準を高めるため優れた教育システムを確立し、教育がある者は、読み書きできない者に教えるよう指示しました。弱くて無力な人が自分の足で立ち、前進できるよう望みました。
奴隷制度が横行し、奴隷が容赦なく扱われていた時代に、イスラームの預言者は社会に革命を起こしました。奴隷を思いやりと敬意を持って扱い、最終的には解放するよう聖預言者は奴隷の所有者に助言しました。
また市内の道路が拡張され、改善されました。都市清掃プログラムも実施され、住民は衛生と健康の重要性について教えられました。アラブで初めて、秩序ある文明化な社会が確立されたとカリフは述べました。市民が社会の有益で活動的なメンバーになるよう努めました。
アハマド氏は、現社会でイスラームの預言者がどのように誤解されているのかについても話されました。現実には、聖預言者は自分のすべての人生を人類の権利を擁護すのに捧げ、彼は時代を超えた“人権の憲章”を確立されました。常に他者の信念と感情を尊重するよう教えました。
現代世界では、自由と娯楽の名の下に尊敬が犠牲にされていることは残念なことです。
宗教の創立者はもうあざけりと軽蔑を免れない時代となっています。しかし、聖クルアーンはムスリムに偶像についても悪口を言うべきでないと教えます。
聖預言者は、弱者や恵まれない人々の生活基準を上げるための様々な政策を実行されました。他人の気持ちを気にかけないお金持ちよりも、道徳的で思いやりのある貧しい人の方が大いに価値があると言います。些細なことでも社会の恵まれない層の市民の感情の保護を確立するため、多大な注意を払いました。例えば、ムスリムに貧しい人と弱い人を夕食に誘うよう促しました。
彼は、信者に奴隷を解放するか、少なくとも自分が食べ、着るものと同じ者を彼ら(奴隷)にも与えるよう言い続けました。
続いてカリフは、女性の権利についても語りました。イスラームは、女性の権利を尊重していないと言われますが、それは真実から遠く離れた主張です。女性が尊敬されていなかった時代に、聖預言者は、少女たちに教育を受けさせ、尊敬するよう命じられました。彼もまた3人の娘たちの教育し指導されました。
イスラームの預言者によると、天国に入る方法は、女性(娘)に道徳的価値を教育させ、浸透させることでした。この教えに基づいて、アハマディーの女性たちは、人類に奉仕するため高学歴を得る教育を受けています。私たちは、女子が男子と同等に教育を受けられることを確実にしています。したがって、発展途上国にいるアハマディー少女の識字率は99パーセントであるとカリフは指摘しました。イスラームが初めて女性に相続、離婚、その他多くの権利を与えました。
イスラームは、暴力的な宗教であると誤解されているとカリフは述べます。聖クルアーンは、信念と良心の自由を与えます。ですからこの主張は現実と程遠いものです。初期のムスリムが戦争をせざるを得なかった理由は、平和を確立し、すべての人々の自由と生きる権利を保護するためです。それは常に防衛のために戦われたとカリフは述べました。
暴力を行使するムスリムは、イスラームの教えから程遠い人々です。このような暴力行為は、権力または富を得ること、地政学的および既得の利益を獲得することのみを目的としています。聖預言者から正しい指導を受けたカリフは、戦争を決して望まず、常に平和と和解を求めました。
もう一つイスラームに対する供述に、古風な宗教である、知的進歩を促進しないというものがあります。そのような仮定は、事実ではなく虚偽に基づいているとカリフは述べます。
聖クルアーンは、「私の主よ、知識を深めさせてください」という祈りを信者に教えることで、教育の重要性を示します。この祈りは、ムスリムを救うだけでなく、知識の進歩を促す重要な役割も秘めています。実際、聖クルアーンとイスラームの預言者は、世界を変える科学者、発明家、哲学者に多いな影響を与えました。
現代光学の先駆者としてもユネスコに認められたイブネ・ハイサムに聴衆の注意を引き付けました。またカメラという言葉は、アラビア語に由来するとカリフは言いました。12世紀には、ムスリムの地図製作者が、何世紀にもわたって使用され、中世の最も広範囲かつ正確な世界地図を描きました。また医学および生物科学でもムスリム医師の貢献は多大な功績です。ジャービル・ビン・ハイヤーンは、化学分野において革命を起こし、今日も使用され続けている基礎を築きました。
アハマド氏は、ニューヨークタイムズの記事を引用し「ムスリムは、中世の科学分野の中核を創造した」と述べました。したがって、イスラーム教は初めから、人間の知識を学び、推し進めることの重要性を強調している。
アハマディア・ムスリム協会は設立以来、こうした傾向の学習と教育を推進してきました。ムスリムの中で、最初のノーベル章を授与した科学者は、アハマディーであったアブドゥル・サラーム教授でした。サラーム教授は、“聖クルアーンには、科学に関係する、我々の自然と宇宙の理解を深める約750節が存在する”と証明しました。
カリフは、教育が貧困を打開する鍵であると述べ、これが貧しい人々に資金を供給するよう促した聖預言者の教えであると述べます。ムスリムは礼拝するだけでなく、人類に奉仕することによって神の愛を得る必要があると述べました。
イスラーム教は愛と思いやりの宗教だと、私たちは信じています。我々の組織が民族や信条に関係なく、人類に奉仕する理由はこの思いやりの教えにあります。我々の組織は、アフリカの村できれいな水を提供することによって、子供が池から水を集めるために何キロも移動するのではなく、教育に集中できる環境を整えました。カリフは、人間の同情心から行われた人道的活動についてさらに詳しく語られました。
最後に、人類が欲を捨て、狭い自己利益の追求を放棄し、恵まれない人々の痛みを和らげることに焦点を当てることを祈りました。イベントに来てくれた人々に感謝し、祈り(黙とう)をしてセッションは終了しました。