現代世界の危機と平和への途(アメリカ合衆国大統領に宛てた手紙)

アメリカ合衆国大統領
バラク・オバマ大統領
The White House
1600 Pennsylvania Avenue NW
Washington D.C.

2012年3月8日

親愛なる大統領閣下

世界で起こりつつある不穏な状況に鑑み、私はアメリカ合衆国大統領である閣下に手紙を書く必要があると考えました。なぜなら貴国は世界の超大国であり、閣下は貴国と世界の未来に大きく影響を及ぼす決定を下す権限を持つからです。

現在世界はひどく動揺し不穏な状態です。一部の地域では小規模な戦争が発生しています。しかし残念ながら、世界の大国は紛争地帯に平和をもたらす努力に予定していたほどの成功を収められていません。全世界を見ると、ほとんどすべての国が他の国を支援するか敵対するかの行動を取っていますが、正義という条件は満たされていません。世界の現状を今注意深く観察してみると、残念ながら次の世界大戦の素地が整ってしまったことを感じます。大国も小国も、これほど多くの国が核兵器を手に入れた結果、国家間で恨みと憎しみが高まりつつあります。こうした厳しい状況において第三次世界大戦はもうほとんど確実にその姿を現すところまで来ています。第三次世界大戦が起これば核戦争になることは確実であり、私たちは世界が恐るべき破局に向けて進むのを目の当たりにすることになります。第二次世界大戦のあと、私たちが公平と正義の道を歩んでいれば、ふたたび戦火に包まれる世界の現状を目にすることはなかったはずです。

誰もが知っているとおり、第二次世界大戦に突入した大きな原因は国際連盟の失敗と1932年に始まった経済危機です。今日、第一線の経済学者は現在の経済危機を1932年のそれと多くの点で類似していると指摘しています。小国間では政治的経済的問題のためにふたたび戦争が始まり、そうした国の内部では国内的な対立と不満が渦巻いています。こうした情勢から最終的に特定の国が介入して紛争国の政府を動かすようになれば、世界大戦につながりかねません。また小国間での紛争が政治や外交で解決できなければ、世界に新しいブロックや集団が生まれます。それこそ第三次世界大戦勃発の前兆です。したがって今は世界の進歩に目を向けるのではなく、そうした破局から世界を救う努力を緊急に増やすことがより重要であり必須であると考えます。人類は造物主である唯一神をただちに受け入れることが必要です。神こそ人類の存続を保証する唯一の存在だからです。さもなくば世界は自己破壊に向けて急速に進み続けるしかありません。

私が閣下に、そして世界のすべての指導者にお願いするのは、他国を武力によって抑え込むのではなく、外交、対話、知恵を利用して欲しいということです。米国をはじめとする世界の大国は平和を打ちたてるためにそれぞれの役割を果たす必要があります。小国の行動を口実にして世界の調和を乱すようなことがあってはなりません。現在、核兵器は米国とその他の大国だけが保有しているわけではありません。今では比較的小さな国も核という大量破壊兵器を保有しており、そうした国で権力を握る指導者は、ただ銃の引き金だけを引きたがって考えや思慮なしに行動する人物であることがしばしばです。したがって大国小国のどちらもが第三次世界大戦の勃発を防ぐよう、閣下に最大限の努力を尽くして欲しいというのが私のささやかな願いです。その責務に失敗し世界大戦が発生すれば、その影響と結果はアジア、ヨーロッパ、アメリカ大陸の貧しい国だけに限られるわけではないことは明白です。将来の世代が私たちの行動のもたらす恐ろしい結果を甘受せざるを得ず、世界のあらゆるところで障害や奇形のある子供たちが生まれることになります。そうした将来の世代は、世界を全地球的な破局に導いた私たちの世代を決して許すことはないでしょう。自分たちの既得権益にだけ関心を注ぐのではなく、将来の世代のことを考え、彼らに明るい未来を残すために努力することが必要です。どうか至高の神が閣下および世界のすべての指導者にこのメッセージを理解させますように。

敬具

ミルザ・マスルール・アハマド
メシアの第5代カリフ
世界アハマディア・ムスリム協会最高指導者