第四回 世界宗教者対話(演説)

皆さん!アッサラムアライクム

私は世界でもっとも誤解されているイスラームを代表として皆様にその本当の姿をお見せしたいと思います。イスラームとは、大まかに言うと、預言者ムハンマド(彼に神の平安あれ)によって説き広められた宗教である。イスラームという言葉はアラビア語では平和を意味します。また、同時に、「服従という意味も持っています。それゆえ、ムスリム(イスラーム教徒)は、その生涯を通じて平和を得ようと努力し、それを維持しようと努めるのであります。ムスリムとは、イスラーム教徒の聖典クルアーンの中に啓示されている神意、すなわちイスラームの聖なる預言者(ムハンマド)に神が啓示された一語一句に服従する者という意味であります。イスラーム教徒は、神の預言者全員を信じています。しかし、聖なる預言者ムハンマドこそ、その預言者たちの中で最も偉大であり、人間の中で最高位に就く方と見なされています。

アハマディア・ムスリム協会は、絶えず変化し急成長を遂げている、イスラーム教内の国際的な復興運動組織である。1889年に設立され、200カ国以上に及び、会員数は数千万人を超える。現在の本部は英国にあります。。現在の本部はイギリスにあり、世界中に1万5千以上のモスク、500以上の学校、30以上の病院を建設し、イスラームの聖書である聖コーランを70以上の言語に翻訳しています。また、24時間制の衛星テレビチャンネル、インターネット、数多くの出版物を通して、イスラームの真の教え、平和と寛容のメッセージを広めています。また、ヒューマニティーファースト(人間性が一番)という名のボランティア団体を通して、自然災害などが発生した際に、支援活動なども行っています。

そして日本では1935年から活動を開始し、多くの活動を行ってきました。1995年に発生した阪神淡路大震災、2004年の新潟中越地震、そして3年前に起きた東日本大震災で数か月にも及ぶ支援活動を行い、日本人の方々に本当の美しいイスラームの姿を見せることが出来ました。

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  • 私達は全ての宗教、全ての預言者、全ての聖典に敬意を払って、預言者ムハンマド(彼にアッラーの平安あれ)そして約束されたメシア(アハマディア協会の創始者)の教えに基づいて真のイスラームを広める活動を行っている団体である。
  • 約束されたメシアの教えである「自分の信仰を正しく理解している真のイスラーム教徒は、自分が平和に暮らしている国家のもとで、いつも誠実で従順でいることでしょう。信仰が、国家への誠実さや従順さの妨げになってはなりません。
  • 聖クルアーンの教えによりジハードの正しい意味を理解している。その本当の意味は世界改革のための努力と戦いのことである。人々が平和に暮らせるような世界を創るためのものです。イスラーム教徒にとって最大のジハードとは自己改革であり、自分自身の悪と戦うこともジハードである。
  • アハマディア協会の現最高指導者であり約束されたメシアの第5番目の後継者でであるハズラット・ミルザ・マスルール・アハマド師が仰ることを守り、世界に平和をもたらすためにいかなる努力も行っている。
  • 国内に三つの支部(名古屋・東京・津島)がある。津島市にあるモスクへは東海地方から信者が集まり、東京にあるアハマディア・センターへは関東地方から信者が集まる。
  • 国際的な集まりであり、日本人以外にもパキスタン人、インド人、アメリカ人、インドネシア人、ナイジェリア人、スリランカ人、ミヤンマー人などがいる。
  • 信者達の教育向上のため毎週勉強会などを開催しており、男性、女性、子供達がそれぞれスポーツ大会やスピーチなどのコンテストも行っている。
  • 毎年五月に全国から一か所に信者達全員が集まり、年次総会を開催する。この年次総会では、イスラームの真の教えを教えること、現代社会の問題の解決、そして日本人の方々のイスラーム教に関する理解を深める目的のためにこの機会を設けている。
  • 日本アハマディア協会の宣教師達は日本人のイスラーム教に関する理解を深めるために、大学やセミナーなどで演説を行ったり、シンポジウムに参加したりしている。これ以外にも聖クルアーン、ハディース、アラビア語、ウルドゥー語などを教える教室も開催している。
  • モスク見学会・イスラーム文化交流会、宗教者対話を行ったり、国際ブックフェアに参加して他宗教と理解を深めている。
  • モットーは「Love For All , Hatred For None」(誰も憎まず、全ての人に愛を)

神様は昔からいつどんな時代にも人間を導くために自分の預言者たちを派遣して啓示を与えたのです。その目的は人生に関するあらゆる問題を解決し物質的な生活と共に道徳的、精神的にすばらしい生活を人間にもたらすためでした。

先ほど述べた目的を果たすために、神は数多くの預言者や宗教を人々に送られたのです。主な宗教の中にはユダヤ教、キリスト教、仏教、そしてイスラームがあります。

イスラームの立場から、ユダヤ教、キリスト教、仏教を考えてみると、元来この宗教は心理であり、神様から与えられたものに違いありませんでした。

イスラームの特色について話したいですが、日本における宗教の歴史をみてますと日本はどの時代にでも宗教に感触があったのです。現代でも日本にそれぞれの宗教を信じている人の数は日本の人口よりも多いということは日本人の宗教に興味、感触が非常に強いということがわかります。

イスラームに対するひとつの大きな誤解ですが、イスラームは古い教えであるとか、アラブ人の宗教であるような誤解があります。しかし宗教の中で一番新しい宗教、合理的な宗教イスラームであります。イスラームの教えは今現代盛んであるほかの宗教つまりヒンズ教、仏教、ユダヤ教、キリスト教の中に一番最後に始まった教えであります。日本人を含めて全世界の人々に向かって人種、肌色、言葉、国籍を超えた平和的な教えであります。

イスラーム社会では神様を崇拝することは一番大事でありましてその次はこの世に人間関係に一番大事なことは年上の方を尊敬することです。それにも親を大事にすることはイスラームの特色であります。親を一人ぼちにすることや老人ホームで暮らすような環境を作るのは許されていないのです。親の愛情、思いやりが大切であります。

イスラームは社会にどのように平和をもたらせるのか話してきました。個人の生活の平和、家庭の平和そして社会そのものの平和ですが、一つ一つわかりやすくクルアーンに説明してあります。

神様の啓示そして行動は矛盾していない。神様の教えたことは合理的でありまして結果的には間違いなく神様の言葉が人間の計画より優先するのです。

日本ではイスラームについて講演をしているとほとんど会場にいる誰かがイスラームでは奥さんよりまで許されているのは本当ですか。そのとき冗談半分で主人4人まで許されていないから神様に感謝しますというムスリムの声も聞いたりします。イスラームは性的に乱れた社会を望まないし、イスラームの女性誰でも結婚しなければならない義務があります。戦争やほかの災いで女性より男性の死亡が多く、未亡人が社会にあふれてくるのです。そういう状態に日本も合いましたが、結果的に戦後社会がどのように乱れたのか、明らかであります。

このような状態にイスラームは次のように語っています。

もしお前たち孤児を公正に扱い得ざる恐れある場合、良しと思う女を娶るがよい、二人なり、三人なり、四人なり。されど、もし公平に扱い得ざるを恐れなば、ただ一人の女か、或いはお前たちの右手が所有するものを娶れ。こは不公平を避けるための一番の近道なり。(4:4)

非イスラーム社会では以上話した理由のほかには妻が重い病気にかかったり、主人がある女性をほれてしまったり、奥さんが子供を生めないなどの理由で新人と結婚するために大事な奥さんを離婚せざる得ない場合があるのですが、イスラーム社会ではそういう場合に離婚よりもう一人と結婚したほうがよろしいとの教えがあります。法律的に許されているので新人との関係を隠す必要もないのです。

世界に平和をもたらすためには宗教者同士が交流を深めなければならないと思います。

「宗教が原因で世界中に紛争が起きている」

「宗派が多いがために対立が起きている。」

「宗教間、宗派間すべて同じ神様から授かった宗教なのであれば、なぜ戦争が起きているのか。」

という質問をする無宗教者がいます。私はこういったことを完全に否定します。宗教は決して紛争や争いの原因ではありません。宗教は個人的にも社会的にも平和をもたらすためのものです。全ての宗教の創始者をみてみると、彼らのおっしゃったことまた、行ったことを理解していれば、絶対に紛争や争いは起きることはありません。彼らはみんな素晴らしい指導者であり、そして、人間に正しい人生のあゆみかたを教えてくれたのです。

近年、イスラームに関連したテロや過激なニュースをよく聞くようになりました。こういったことを行なっている教えを誤解(ごかい)した非常に少数の人達が全世界のイスラーム教徒のイメージを悪くしているのである。

このように誤解して過激なことを行なっている人の行為がイスラームの姿であると思いますか?

いいえ、全くそんなことはありません。

イスラームは1400年前から現在にまで続く世界に革命を起こした宗教なのであり、数百年前イラク、シリア、トルコまたはスペインの文明を発展させた宗教です。

イスラームは他宗教者の尊敬、国籍・人種・宗教を関係なしに助け合うこと、そして、困っている人を助けるなどの素晴らしい教育をする宗教です。

近年、シリア・イラク・アフガニスタンやエジプトなどの国々で紛争などが起きているとよく耳にします。ですが、それらは決してイスラームを信じる国であるからそのような問題が起きるわけではありません。報道がイスラームの名をけなすことに利益を感じ始めていることが原因なのである。

もし日本でアメリカ人が誰かを殺害したというニュースが報道されるとします。その場合報道はアメリカ人が殺害したと伝えるでしょう。

決して、キリスト教徒の誰かが殺害したという言葉を使いません。

しかし、私の母国であるパキスタン人の誰かが殺害されると、

イスラーム教徒が殺害したという言葉を使うのです。

そっちの方が視聴者は理解しやすいという言い訳をしているのです。

こういったことが近年イスラームのイメージを悪くしている大きな原因です。

どんな理由があろうとイスラームは絶対にテロや過激行為は許しません。

イスラームでは、こういう教えがあります。

「一人の人間を殺害したものは、全ての人類を殺害したのと同じ罪である。」

そんな教えをもった宗教の名が近年悪いイメージをもつようになったのは非常に悲しいことです。

私達の宗教がイスラームであろうが、仏教であろうが、キリストであろうが、神道であろうと、どんな宗教の信者であろうと、私達は一人の人間として皆、平等です。本日私達は、お釈迦様、預言者モーゼ、預言者イエス・キリスト、そして、預言者モハンマドなどの全ての預言者に敬を払い、彼らは世界に平和をもたらすために現れたのであると私は信じています。

しかし、残念ながら、宗教の名が紛争や争いに利用されているのも現状です。

全ての宗教は平和を愛しており、平和を愛する宗教が紛争のイメージになるのは全く間違っていると思います。