聖クルアーンはイスラームの聖典であり、全人類を導びく源泉です。

聖クルアーンはイスラームの聖典であり、全人類を導びく源泉です。全30巻114章で構成されています。

聖クルアーンは神の唯一性を強調し、すべての預言者の真実性を確証しています。また、啓示されたすべての聖典は、本来の形では真実であったことを認めています。これは聖クルアーン独特の特徴で、様々な信仰をもつ信者間の真の対話と理解のための堅固な基礎を提供しています。

聖クルアーンは、時代を超えて全人類に適用されてきたそれまでの教えの諸相を裏書きし、さらにより深い導きを伴った教えを補足することで、すべての人々のための包括的な生活規範と知識の源となっています。その永遠の教えは、1400年以上前の啓示の時と同じように、今日なお重要性を持っています。

聖クルーアンは、社会的、経済的、科学的、政治的あるいは宗教的な私たちの生活のすべての側面を扱い、驚くような広範囲の話題を含んでいます。その教義の幅と深さには、アッラーの無限の知識を反映し、歴史、ヒト生物学、自然、進化、遺伝学、原子力、天文学、宇宙の他の場所における生命、その他の多くのテーマに触れています。しかしながら、クルアーンは、科学や知識一般を扱う書物ではありません。真実を探り、知識を発展させることを願っていますが、それによってアッラーとの関係や認識を深めていくための書物です。

聖クルアーンは、改ざんされたことはありませんか?

はい、ありません。聖クルアーン独特の特徴のひとつは、啓示以来、まったく変化していない唯一の聖典であることです。この本文の保存は、神によって約束されたものであり、クルアーン特有のものです。

げにこの訓戒を啓示せしはわれら自らなり、而<しか>してわれらこそその守護者とならん。*1

預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)の生きていた時代に、聖クルアーンの全文は書き留められ、数千人のムスリムによって記憶されました。これは、全文が原形のまま保存されてきたひとつの形態です。

聖クルアーンはムスリムだけのためのものですか?

いいえ、聖クルアーンは、「正しい者への嚮導*<きょうどう>)」(第2章3節)であり、「人類の嚮導」(第2章186節)であると述べています。*導き

これは、純粋な心で真実を求めるすべての人に、聖クルアーンが豊かな導きの源になることを意味しています。聖クルアーンの教えは、人生のあらゆる局面における重要な原則を示しています。

クルアーンは、人間が、創造の目的をどのように達成できるかについての完全な指針を提供し、来世で裁かれるであろう基準について説明しています。膨大な量の知識と意味が、それぞれの詩や単語、ひとつひとつの母音にさえ込められています。

同時に、聖クルアーンでは、寓意的で豊かな象徴的表現であふれています。クルアーンは、過去、現在、未来に適用できる物語や寓話の素材によって霊的知的なテーマを論じています。その詩的なスタイルは、読みやすく、覚えやすいものです。

人間の倫理的、道徳的、知的、霊的発展に必要なあらゆる概念、原理、律法が聖クルアーンで詳説されています。聖クルアーンは、また、万人のために宗教の自由という基本的原則を再確認し、アッラーについてのみ、きちんと説明を受けてのち、受け入れるか否かを当人の自由に任せています。

聖クルアーンを書いたのは誰ですか?

聖クルアーンの著者というものはありません。アッラーが天使ガブリエルを通して、預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)に23年間にわたってアラビア語で啓示したものです。

預言者ムハンマドは、この時代の普通のアラブ人が誰でもそうであったように、教育を受けておらず、読み書きができませんでした。彼は聖クルアーンの啓示を受けると、筆記者たちに書きとらせました。このようにして、聖クルアーンの全文が預言者の生前に、すべて書き記されました。

卓越した祈り

クルーアンの開扉<かいひ>の章には、クルーアン全体の教えの本質があります。

慈悲深く、恵み遍<あまね>くアッラーの御名において。

すべての賛美は、森羅万象の主、アッラーに属す。

慈悲深く、恵み遍く、

審判の日の主宰者。

我等は汝にのみ仕え、汝にのみ救いを希<こいねが>う。

我等を正しい道に導き給え、

汝が恵みを垂<た>れた給えし人々の道に、

汝の怒りを蒙<こうむ>りし人々や踏み迷えし人々の道ではなく。*2

これは、アッラーの恵みを思い起こさせ、世界中のムスリムによって、毎日の祈りの一部として唱えられています。

聖クルアーンの翻訳

アハマディア・ムスリム協会は、クルアーンをベンガル語、中国語、オランダ語、英語、フランス語、ドイツ語、韓国語、日本語、ペルシア語、ロシア語、スワヒリ語、ヨルバ語など65以上の言語に翻訳しました。また、点字版も出版しています。

聖クルアーンの翻訳の一部は、サイトから購入することができます。

聖クルアーンの重要な教え

神の唯一性

云<い>え。「彼はアッラー、唯一にまします御方なり。アッラーは自足者なり。*3

すべての預言者の信仰

使徒は、己が主より彼へ啓示されたるものを信じたり。そして信徒たちもまた然<しか>り。皆、アッラー並びに、その諸天使、その諸経典そして、その使徒たちを信じ、「我等は使徒たちの中<うち>誰一人にも差別を設けることなし。」*4

信教の自由

信仰は強制するものに非<あら>ず。*5

あらゆる宗教の尊重

げに信じたる人々、且<か>つユダヤ教徒たちやキリスト教徒たち、並びにサービア人*たち(のうち)、アッラーを信じ、最後の審判の日を信じ、善行を積みし人々あらば、彼らのためには、その主の御許に彼等の報奨あり。而<しか>して彼等には、如何<いか>なる恐怖もなく、悲嘆もなからん。*6

*アラビアの一部の地域とその周辺の国々に散在する宗教グループ。

男性にも女性にも平等の救い

神に帰依<きえ>した男と女、信心深い男と女、忠順な男と女、誠実な男と女、信仰に於<おい>て耐え忍ぶ男と女、控えめな男と女、慈善を惜しまぬ男とる女、断食を守る男と女、貞節な男と女、断えずアッラーを念ずる男と女、これ等の者のためにアッラーは素晴らしい褒賞を用意せり。*7

生命の尊厳

…ある生命<いのち>を殺せし者あらば、彼は全人類を殺したるが如<ごと>し、されど、それ(生命)を守護せし者あらば、 彼は全人類の生命を守護したるが如しなり。*8

真実

汝等信じたる人々よ、アッラーのために証人として公正を遵守せよ、たとえお前達自身、または両親や近親に対して(証言する場合)でも。富者であろうが貧者であろうが、アッラーはよく彼等両者を気にかけ給う。さらば公正に振舞うべく我欲に追随するなかれ。また、お前達もし(真実を)隠蔽し、或は忌避するならば、アッラーはお前達の所業を通暁し給う。*9

正義

汝ら信じたる人々よ、アッラーの道に堅固たる監視者であり、公平を遵守する証人であれ。而してお前達ある民への敵意に刺激されて公正に扱い得ざるなかれ。公正に努めよ。そは畏敬に最も近い。而して、アッラーを畏れ敬え。げにアッラーはお前達の所業に通暁し給う。*10

施し

お前達、施しを公然とするのも良いが、ひそかに之を貧者に与うるならば、その方がはお前達のためにより善し。されば彼(主)はお前達の諸悪をお前達から取り除く。而して、アッラーはお前達の所業を知悉<ちしつ>し給う。*11

人間性

げにアッラーは、正義と善行並びに近親に対する贈与を命じ給う。*12

出典)すべて『聖クルアーン』から *1:第15章10節 *2:第1章1~7節 *3:第112章2〜3節 *4:第2章286節 *5:第2章257節 *6:第2章63節 *7:第33章36節 *8:第5章33節 *9:第4章136節 *10:第5章9節 *11:第2章</span