断食をする目的は何ですか?

断食の真の目的は、(イスラームの信仰行為のすべてにおいても同様にいえることですが)人間がアッラーに近づくようにすることです。日常の業務や仕事は普通どおりに行われますが、断食を行っている間は、道徳的、精神的なことの重要性が強調され、またそれらのことに心を集中させることがより重要なこととされています。全てのことは、この主要な目的のもとに行われるのです。聞くこと、見ること、話すこと、感じることなど、すべての感覚を厳格に統制しなければなりません。例えば、無駄なおしゃべりだけでなく、過剰なおしゃべりも慎むべきであるし、そういったことを慎むことによって、アッラーを祈念することにより集中し、それは神の美徳を反映させることとなるでしょう。聖なる預言者(彼に神の平安あれ)は次のように言われています。

断食の期間に飲食を断っていながら、うそをつくことをやめない人は、断食を行う意味がない(断食をしてもそれが無駄になる)。”

親愛なる預言者ムハンマド(彼にアッラーの平安あれ)は、ラマダーンの期間には、貧者や困窮者、病人や孤児に対して普段にもまして気を配り、彼らを救済され、彼の慈悲には限りがなかったという話が伝えられています。

断食のもう一つの目的は、不遇な人々が被っている飢えや渇き、その他の労苦を実感し、それが必要とされているところに慈悲の手を差し伸べることの大切さに気づくことにあります。断食を行うことによって、人は、苦しんでいる人々に共感するようになるのです。

他者に対する思いやり、配慮はイスラームの徳目であり、断食はこの美徳をさらにのばさせるものなのです。